【壊れない作業道シリーズ④】縦断勾配|道が壊れる原因は「急すぎる勾配」

【壊れない作業道シリーズ】

① 基本
② なぜ道が壊れるのか
③ ルート選定
④ 縦断勾配
⑤ 横断勾配
⑥ 切土・盛土
⑦ 排水
⑧ 洗い越し
⑨ ヘアピンカーブ
⑩ 木組み
⑪ 抜根
⑫ 支障木伐採


森林作業道が壊れる原因として、

「排水が悪い」
「盛土が弱い」
「施工が雑だった」

といったことがよく挙げられます。

しかし実際には、それ以前に

「ルート選定の段階で縦断勾配が急すぎる」

ことが原因になっているケースが少なくありません。

どれだけ丁寧に施工しても、勾配が急すぎれば雨水は勢いよく流れ、
路面を削り、やがて崩壊につながります。

壊れない作業道をつくるためには、
施工技術よりも先に、適切な縦断勾配を選ぶことが重要です。


縦断勾配とは?

縦断勾配とは、

道を進む方向の傾き

のことです。

平坦な道であれば0%。

100m進んで5m高くなる道は5%勾配です。

山では完全に平坦な道をつくることは難しいため、
適度な勾配を保ちながら地形に沿って道を通します。


なぜ急勾配が危険なのか?

急勾配になるほど水の勢いは強くなります。

その結果、

・路面侵食
・盛土崩壊
・排水路化
・タイヤ空転

といった問題が発生します。

特に豪雨時には、
作業道そのものが排水路となり、
一度の雨で大きく崩壊することもあります。


壊れない作業道の目安勾配

自伐型林業で用いられる森林作業道では、

通常は

5〜15%程度

を基本に考えます。

地形条件によって変化しますが、

  • 5%前後 → ほぼ平坦
  • 10%前後 → 軽トラで快適
  • 15%前後 → やや急だが一般的な作業道
  • 20%前後 → 注意が必要
  • 30%以上 → できるだけ避ける

という考え方になります。

長期間維持する道ほど、勾配は緩くすることが重要です。


急勾配区間を避ける方法

急な斜面であっても、
道を真っ直ぐ登らず、
斜面を横断しながら進むことで勾配を緩くできます。

そのため、良い作業道は
「最短距離」
ではなく
「最も無理のないルート」
を選びます。

施工前のルート選定が重要なのはこのためです。


一時的な急勾配は許容できる

ただし実際の山では、
すべての区間を理想的な勾配で施工できるわけではありません。

尾根の乗り越しや地形条件によっては、
短い距離だけ急勾配になることもあります。

重要なのは、
急勾配を長く続けないこと
です。

短距離であれば許容できる場合もありますが、
長距離の急勾配は維持管理が難しく、
崩壊リスクも高くなります。


路面の状態も重要

同じ勾配でも、

  • 粘土質
  • 砂質
  • 礫質

によって安定性は大きく変わります。

特に粘土質土壌では、
雨天時に滑りやすくなるため注意が必要です。

地質や土質も考慮して勾配を決めることが重要です。


作業車両との関係

自伐型林業でよく使用される

  • 軽トラック
  • 林内作業車
  • 小型バックホー

は大型林業機械より登坂能力が低いため、
急勾配ほど作業効率が低下します。

安全性や燃費の面からも、
勾配はできるだけ緩くすることが望ましいと言えます。

縦断勾配と横断勾配の違い


まとめ

縦断勾配は作業道の寿命を左右する重要な要素です。

急勾配は施工時には近道に見えますが、
雨水の勢いを強くし、
路面侵食や崩壊を引き起こす原因になります。

壊れない作業道をつくるためには、
施工技術だけでなく、
最初のルート選定段階で無理のない勾配を確保することが欠かせません。

急勾配を避け、水の勢いを抑え、長期間維持できる道を目指しましょう。

縦断勾配は森林作業道設計の基本です。
適切な勾配設定は、路網全体の耐久性や維持管理コストにも大きく影響します。

事務局 久保谷

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