【壊れない作業道シリーズ⑤】横断勾配(路面排水)|水を流し、道を守るための基本技術

【壊れない作業道シリーズ】

① 基本
② なぜ道が壊れるのか
③ ルート選定
④ 縦断勾配
⑤ 横断勾配
⑥ 切土・盛土
⑦ 排水
⑧ 洗い越し
⑨ ヘアピンカーブ
⑩ 木組み
⑪ 抜根
⑫ 支障木伐採


森林作業道が壊れる最大の原因は、
雨水による路面侵食です。

その対策として最も基本となるのが、

横断勾配(路面排水)

です。

横断勾配は、
森林作業道の排水技術の中でも最も重要な基礎技術であり、
作業道の寿命を大きく左右します。


横断勾配(路面排水)とは?

横断勾配とは、

道幅方向の傾き

のことです。

縦断勾配が進行方向の傾きであるのに対し、
横断勾配は左右方向の傾きになります。

この傾きによって雨水を路外へ排水します。


なぜ横断勾配が必要なのか?

横断勾配がないと、
雨水は路面を流れ続けます。

すると、

  • 水たまりができる
  • 路面が軟弱化する
  • 轍が深くなる
  • 盛土が崩れる
  • 路面侵食が進む

といった問題が発生します。

さらに侵食が進むと、

  • 路面が削られる
  • 排水が集中する
  • 路体が崩壊する

という悪循環につながります。

横断勾配は、
その悪循環を防ぐための最も基本的な排水技術です。


基本は谷側へ排水

自伐型林業の作業道では、

基本的に

谷側へ排水する片勾配

を採用します。

これは雨水をできるだけ早く路外へ排出し、
路面上を長距離流させないためです。

水が路面上を長く流れるほど侵食力は大きくなります。

そのため、
雨水は速やかに谷側へ逃がすことが重要です。


横断勾配の目安

一般的には

3〜5%程度

が目安になります。

例えば、道幅2.5mの場合、

山側と谷側で約7.5〜12.5cm程度の高低差

になります。

見た目ではわずかな傾きですが、
排水効果は非常に大きくなります。


勾配が強すぎても問題

排水を意識しすぎて、
横断勾配を大きくしすぎると、
車両が谷側へ引っ張られる感覚が強くなります。

その結果、

  • 走行しにくい
  • 荷台の荷重が偏る
  • 安全性が低下する

といった問題が発生します。

そのため排水と走行性のバランスを考え、

3〜5%程度

が実用上の目安になります。

なぜ3〜5%が目安なのか?

横断勾配は小さすぎても大きすぎても問題があります。

例えば1〜2%程度では雨水が十分に流れず、路面に水が残りやすくなります。

反対に6〜8%以上になると、軽トラックや重機が谷側へ引っ張られる感覚が強くなり、走行性や安全性が低下します。

そのため、

・確実に排水できること

・安全に走行できること

の両方を満たす実用的な目安として、3〜5%程度が採用されています。


横断勾配は維持管理が必要

施工時に適切な横断勾配をつくっても、
通行を繰り返すことで徐々に変形します。

特に軽トラックや重機が同じ場所を走ると、
轍が形成されます。

轍の中に水が流れるようになると、
横断勾配が機能しなくなり、
路面侵食が急速に進みます。

そのため、

  • 通行後の点検
  • 小規模な整形
  • 排水機能の確認

を定期的に行うことが重要です。

横断勾配が機能しているか確認する方法

横断勾配は施工後に数値を測ることよりも、
実際に水が流れているかを確認することが重要です。

雨の後に現場を歩き、

・路面に水たまりができていないか

・水が谷側へ流れているか

・轍に水が集中していないか

を確認します。

水が路面に残らず自然に谷側へ流れていれば、
横断勾配は正常に機能していると考えられます。

雨の日の観察は、最も分かりやすい点検方法です。


横断排水との組み合わせ

横断勾配は排水の基本ですが、
それだけですべての雨水を処理できるわけではありません。

長い距離を流れる水や、集中する雨水は、

・横断排水

・洗い越し

などを組み合わせて路外へ逃がします。

横断勾配で「路面上に水を溜めない」。

横断排水や洗い越しで「集まった水を安全に逃がす」。

この組み合わせが、壊れない作業道づくりの基本になります。
複数の方法を組み合わせて考えることが重要です。

縦断勾配と横断勾配の違い


まとめ

横断勾配(路面排水)は派手な技術ではありません。

しかし、作業道の寿命を大きく左右する基本技術です。

適切な横断勾配によって雨水を速やかに排水し、
路面を乾燥した状態に保つことで、
壊れにくく維持しやすい作業道になります。

壊れない作業道づくりは、
まず水を制することから始まります。

事務局 久保谷

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