【壊れない作業道シリーズ⑬】岩盤掘削|硬い岩盤に当たったときの作業道施工

森林作業道を施工していると、土砂だけでなく硬い岩盤に当たることがあります。

今回の現場では、ヘアピンカーブを抜けた先の山側に岩盤が現れ、バックホーだけでは掘り進めにくい部分がありました。

そこで、バックホー、エンジン式コンクリートブレーカー、ツルハシを使い分けながら掘削しました。

岩盤掘削は土砂の掘削より時間と手間がかかります。

一方で、無理に重機だけで掘り進めるのではなく、岩の状態を見ながら道具と施工手順を切り替えることで、少しずつ必要な道幅を確保できます。

今回は、実際の現場で行った岩盤掘削の方法を紹介します。

岩盤が現れた現場

今回岩盤が現れたのは、ヘアピンカーブを抜けた先の山側です。

作業道の路線を進めていくと、土砂の下から硬い岩盤が露出しました。

岩盤といっても、風化して比較的削りやすい部分もあれば、バックホーのバケットではほとんど削れない硬い部分もあります。

そのため、岩の状態を見ながら施工方法を変えていきます。

まずはバックホーで削れる範囲を掘る

今回の現場では、最初からブレーカーを使うのではなく、まずバックホーで掘削しました。

表面の土砂や風化した岩など、バケットのツメが入る部分はバックホーで削り取ります。

しかし、硬い岩盤に当たると、バケットのツメが入らず、掘削が進まなくなります。

こうした場所で無理にバックホーだけで掘り続けるのではなく、今回の現場ではブレーカーによる破砕作業へ切り替えました。


硬い部分はブレーカーで破砕する

エンジン式ブレーカーで作業道山側の岩盤を破砕する作業
バックホーで削れない硬い岩盤をエンジン式ブレーカーで破砕。奥ではバックホーで作業道の施工を進めています。
※撮影時のみ保護具を外しています。実際の作業では保護メガネ、イヤーマフ、防振手袋等を着用して施工しています。

バックホーで掘削できない部分は、エンジン式コンクリートブレーカーを使って少しずつ破砕します。

ブレーカーで岩に割れ目を入れ、その後にバックホーや人力で岩片を取り除いていきます。

また、エンジン式ブレーカーは振動による身体への負担が大きいため、今回の現場では4人で交代しながら作業しました。


ブレーカーと人力を使い分ける

エンジン式ブレーカーで岩盤を破砕する作業員と法面に立てかけたツルハシ
ブレーカーで岩盤を破砕し、必要に応じてツルハシで割れた岩片を取り除きながら法面を整えます。
※撮影時のみ保護具を外しています。実際の作業では保護メガネ、イヤーマフ、防振手袋等を着用して施工しています。

ブレーカーで割れ目が入った岩は、ツルハシを使うことで効率よく取り除ける場合があります。

特に、細かな岩片の除去や法面形状の調整などでは、すべてを重機で行うより人力の方が作業しやすいことがあります。

バックホー、ブレーカー、人力には、それぞれ得意な作業があります。

一つの方法にこだわらず、岩の状態や作業位置に合わせて使い分けることが重要です。


現場の工夫|行き詰まったら別の角度から施工する

今回の現場では、バックホーがヘアピンカーブを抜けた先まで進んだ状態で岩盤掘削を行いました。

一方向から岩盤を掘り続けるよりも、いったん施工できるところまで進み、別の角度から作業した方が効率的な場合があるためです。

これは岩盤掘削だけではありません。

・谷側の道ぎわに立木が残る箇所での盛土の締固め
・大きな根株の抜根

などでも、同じことがあります。

目の前の一か所にこだわって作業を続けるよりも、いったん先へ進み、別の位置や角度から作業することで、施工しやすくなることがあります。

また今回の施工では、ブレーカーによる岩盤の破砕作業を進めている間に、バックホーは先行して作業道を延伸しました。

岩盤掘削はどうしても時間がかかります。そこで、ブレーカー作業が終わるまでバックホーを止めて待つのではなく、それぞれができる作業を同時に進めました。

人と機械をできるだけ止めずに作業を組み合わせることで、施工全体の効率を高めることができます。

作業道づくりでは、バックホーの操作や岩盤を砕く技術だけでなく、現場の状況を見ながら施工の順序や人員配置を組み替えることも大切です。


岩盤だから必ず安定するわけではない

岩盤が露出した切土面は、土砂の切土面に比べて表面が雨水で侵食されにくい場合があります。

しかし、岩盤であれば必ず安定するわけではありません。

風化が進んでいる岩や、岩の割れ目が多い場所、湧水がある場所などでは、岩片の剥離や落石が起こる可能性があります。

そのため、岩盤を掘削するときも、岩の硬さだけでなく、風化の程度、割れ目、水の状態などを確認しながら法面を仕上げる必要があります。

また、大量の岩盤を掘削しなければ道が通らない場合には、無理に掘り進めるのではなく、路線そのものを見直した方がよい場合もあります。

作業道は、岩盤を掘ること自体が目的ではありません。

地形や水の流れを読み、必要以上の切土・盛土を増やさず、長く使い続けられる路線と構造を選ぶことが基本です。


まとめ

森林作業道の施工では、予定した路線上に硬い岩盤が現れることがあります。

今回の現場では、

・バックホーで削れる部分を掘削する
・硬い部分をブレーカーで破砕する
・必要に応じてツルハシで岩片を取り除く
・施工できる場所を先に進め、作業の順序を組み替える

という方法で施工しました。

岩盤掘削には時間がかかりますが、無理に一つの方法で進めるのではなく、岩の状態や現場条件に応じて機械と人力を使い分けることが大切です。

そして、岩盤だから安全、崩れないと考えるのではなく、風化、割れ目、水、地形などを確認しながら施工する必要があります。

目の前の施工だけでなく、その後も繰り返し使える道にすること。

それが、私たちが考える壊れにくい作業道づくりの基本です。

「壊れない作業道」について

本サイトでは、地形や水の流れを読み、必要最小限の切土・盛土とこまめな分散排水などによって、崩れにくく長く使い続けられる森林作業道を「壊れない作業道」と表現しています。

自然条件や災害の規模によっては損傷する可能性があり、「絶対に壊れない」という意味ではありません。

参考資料

林野庁「森林作業道作設指針」
掲載ページ:林野庁「路網整備の推進」

広島県「森林作業道作設指針」
広島県「森林作業道実施基準」
掲載ページ:広島県「森林作業道の作設について」


この記事の執筆・監修

久保谷 幸雄|林業家
一般社団法人 安芸太田町自伐型林業を推進する会 監事

広島市出身。2020年から自伐型林業に取り組み、2022年に脱サラして専業の林業家に。広島県安芸太田町を拠点に、森林作業道づくり、間伐、伐倒・造材・搬出、森林資源の活用を実践しています。

自伐型林業歴:6年|森林作業道の作設実績:6,500m超(2026年9月現在)
愛機:STIHL MS 500i/MS 201 C-M

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