マンガでわかる自伐型林業|森を守りながら続ける持続可能な林業

「自伐型林業」とは、大規模な皆伐とは違い、
山を荒らさず、小さな道を作り、良い木を残しながら、
長い時間をかけて森を育てる林業です。

このページでは、自伐型林業の考え方と施業の流れを
「マンガ」でわかりやすく紹介します。

マンガでわかる自伐型林業の施業サイクル

① 放置された山林に困っている様子

手入れされない人工林

光が地面まで届かず、土壌が弱り、
木は細く弱く育ちます。
根が張らないため、
土砂災害や倒木のリスクが高まります。

② 自伐型林業で壊れない作業道をつくりながら成長の悪い木を伐る様子

壊れない作業道と間伐

小型重機で幅のせまい作業道を整備し、
良い木を残して間伐します。
伐った木は出荷や道の補強に活用。
森の保水力を守ります。

③ 間伐した木材をトラックで出荷する様子

5〜10年ごとに繰り返す施業

成長量の範囲で間伐を繰り返します。
作業道を使って木を搬出。
光が入り、残った木と
低層植生が元気に育ちます。

④ 森が再生し豊かになる未来の様子

100年以上続く森づくり

大径の良木は高い価値を持ちます。
森は針葉樹と広葉樹が混じる混交林へ。
生き物が増え、人も癒される
持続可能な森林になります。

自伐型林業の流れ(マンガ解説)

① 作業道をつくる(壊れない道)

戦後に植えられたスギ・ヒノキの人工林では、
森を壊さない幅2.5m以下・切り高1.4m以下の
作業道をつくります。

この作業道は3トンミニバックホーなどの
小さな機械で安全に作業するための道です。

一度つくった作業道は
何十年も使い続けることができます。

② 成長の悪い木を間伐する

森の木はすべてが順調に育つわけではありません。

そこで

・曲がった木
・成長の悪い木
・込み合った木

を選んで少しずつ間伐します。

これを
長伐期多間伐施業といいます。

森全体の成長量の範囲で伐ることで
森はむしろ健康に育っていきます。

③ 10年ごとに森を手入れする

自伐型林業では

10年程度の周期で森を手入れします。

急いで伐るのではなく
森の成長に合わせてゆっくり利用します。

この方法なら

・森が荒れない
・土砂災害が起きにくい
・生き物が増える

というメリットがあります。

④ 100年かけて豊かな森になる

長い年月をかけて手入れされた森は

・太いスギやヒノキ
・広葉樹
・草花
・生き物

が共存する豊かな森になります。

このような森を
**針広混交林(しんこうこんこうりん)**と呼びます。

私たちが目指す「100年後の森」

自伐型林業は、 単に木を伐る技術ではありません。

50年後、100年後にも森が生き続けるために、 今できる最善を積み重ねる林業です。

図解:自伐型林業の施業サイクル

自伐型林業の施業サイクルの図

森林の変化(Before / After)

自伐型林業による森林の変化の様子

一般林業との違い

項目一般的な大型林業自伐型林業
伐採方法皆伐が中心間伐を繰り返す
作業道広く切り高の高い道細く壊れにくい道
使用機械大型高性能機械小型機械
森林への影響裸地化しやすい森林を残しながら施業
災害リスク崩壊リスクが高まる場合がある土砂流出を抑えやすい
経営規模大規模集約型小規模・地域密着型
森林の未来単一人工林になりやすい針広混交林へ移行

なぜ「壊れない作業道」が必要なのか

自伐型林業では、 森を壊さず長く使える「壊れない作業道」を重視します。

一般的な大型林業では、 幅の広い道を急勾配に開設することもあります。

しかし、 無理な道づくりは、

  • 土砂崩れ
  • 路面崩壊
  • 水の集中
  • 森林の乾燥

などの原因になることがあります。

自伐型林業では、 地形を読み、 水の流れを逃がしながら、 幅2.5m以下の小さな道をつくります。

一度つくった道を何十年も使い続けることで、 森への負荷を最小限に抑えます。

自伐型林業のメリット

自伐型林業には多くのメリットがあります。

森林を壊さない

皆伐をしないため
森の生態系を守ることができます。


災害に強い森になる

森林を残しながら管理することで
土砂災害のリスクを減らすことができます。


小規模でも林業ができる

高価な大型機械がなくても
地域の人が取り組むことができます。


地域の仕事になる

山林所有者や地域住民が
森林管理に関わることで

地域の仕事と収入につながります。

なぜ今、自伐型林業が注目されているのか

日本の森林の多くは戦後に植林された人工林です。

しかし現在は
・林業の担い手不足
・放置林の増加
・森林の荒廃
などが問題になっています。

自伐型林業は、
小規模でも持続的に森を管理できる方法として
全国で注目されています。

森を守ることは、地域を守ること

森は、 木材だけではなく、 水や土、 生き物、 そして人の暮らしを支えています。

私たちは、 100年後にも地域に森が残り、人が暮らし続けられる未来を目指して、
森づくりを続けています。

私たちの取り組み

一般社団法人
安芸太田町自伐型林業を推進する会では

・森林整備
・作業道づくり
・研修・人材育成
・地域連携

を通じて
自伐型林業の普及に取り組んでいます。

まとめ

自伐型林業は

森を守りながら
木を育て
地域で続けていく

持続可能な林業の形です。

私たちは
いのちを育む環境を未来へつなぐ
という理念のもと、
広島県安芸太田町でこれからも森づくりを続けていきます。

事務局 久保谷

樹齢100年以上の豊かな針広混交林

山林をお持ちの方へ

・壊れない作業道は、山の価値を大きく左右します。
・作業道づくり・森林整備のご相談を受け付けています。

林業を始めたい方へ

・作業道づくりの見学・研修を開催しています。
・初心者の方でも参加可能です。

関連記事:壊れない作業道シリーズ

① 森林作業道の基本|自伐型林業の道づくり

② 岩を避ける木組み工法|自伐型林業の現場施工

③ 作業道排水の基本|壊れない道づくりの考え方

④ ヘアピンカーブ施工|急傾斜地で壊れない道をつくる技術

⑤ 洗い越し施工|壊れない作業道の排水技術

⑥ 抜根技術|根の性質を読むことで作業効率は劇的に変わる

⑦ ルート選定|壊れるかどうかは8割ここで決まる

⑧ なぜ道が壊れるのか|崩壊する作業道には必ず原因がある

⑨ 支障木伐採|谷側へ傾いた木を安全に倒す「牽引伐倒技術」