マンガでわかる自伐型林業|森を育て、木を活かす林業のしくみ
自伐型林業(じばつがたりんぎょう)とは、山林の所有者や地域の担い手が、自ら森の手入れや木材の利用に関わり、小規模な施業を継続していく林業のあり方です。
自分の山だけでなく、所有者と合意したうえで、借りた山や管理を任された山で取り組む形もあります。
では、実際にはどのように森と関わっていくのでしょうか。
このページでは、私たちが安芸太田町で実践している自伐型林業の考え方を、4つの場面で分かりやすく紹介します。
マンガで見る自伐型林業
① まず、森の状態を見る
森林の手入れは、今の森がどのような状態なのかを知ることから始まります。
木の混み具合や太さ、樹冠の広がり、幹の状態、地面の草木、地形や水の流れなどを見ながら、どこにどのような手入れが必要なのかを考えます。
人工林だからといって、どの山も同じ状態ではありません。
その山の状態を見て、残す木や伐る木、作業道の位置などを考えていきます。

② 森に繰り返し入るための作業道をつくる
間伐した木を運び出し、その後も森林の手入れを続けるためには、森の中へ入るための作業道が必要です。
私たちは、地形や水の流れを読みながら、使用する機械が安全に通れる範囲で道幅を抑え、山を削る量や土を盛る量をできるだけ小さくします。
特に大切なのが、水を一か所に集めないことです。
雨水や沢水をこまめに分散して逃がし、施工後も点検や補修を重ねながら、長く使える道として維持していきます。
本サイトでは、このような考え方でつくる森林作業道を「壊れない作業道」と呼んでいます。
これは「絶対に壊れない」という意味ではなく、地形・土質・水の流れなどに応じた施工と維持管理によって、壊れにくく長く使い続けることを目指すものです。
詳しい施工方法や現場事例は、「壊れない作業道シリーズ」で紹介しています。

③ 残す木を選びながら間伐し、木を活かす
作業道があれば、間伐した木を森林から運び出しやすくなります。
私たちは、森の状態を見ながら、将来残して育てる木と伐る木を選びます。
残す木は太さだけで決めるのではなく、樹冠の広がり、幹の状態、周囲の木との位置関係なども見ながら判断します。
一度に多くの木を伐るのではなく、森の状態に応じて間伐を繰り返し、長い年月をかけて木を育てていく「長伐期多間伐」を基本としています。
伐った木も、できるだけ活かします。
木材市場へ出荷するほか、板や建築材、薪、炭、シイタケのホダ木など、その木の状態や大きさに合った使い方を考えます。
山の木をどのように活かしているかは、「山の木を活かすシリーズ」で紹介しています。

④ 同じ森に繰り返し入り、次の世代へつなぐ
自伐型林業は、一度間伐をして終わる林業ではありません。
間伐した後の木の成長や、林内に届く光、地面の草木、作業道の状態などを確認しながら、必要な時期に再び森へ入り、次の手入れを行います。
場所によっては、自然に育ってきた広葉樹を残しながら、スギやヒノキと広葉樹が混じる森へ育てていくこともあります。
ただし、目指す森の姿はどこでも同じではありません。
地形や土壌、樹種、木の成長、日当たり、水、風雪、シカなどによる食害といった条件を見ながら、その場所に合った森林管理を続けていきます。
今ある木を活かしながら、次の世代も関わり続けられる森を残す。
それが、私たちが目指している森づくりです。

※このページの画像は、自伐型林業の考え方や森林管理の流れを分かりやすく紹介するためのイメージです。実際の森林の状態や施業方法、将来の森林の姿は、地域や山林の条件によって異なります。
自伐型林業は「一度伐って終わり」ではありません
自伐型林業で大切なのは、同じ森と長く関わり続けることです。
森の状態を見る。
作業道をつくり、手入れする。
残す木を選びながら間伐する。
伐った木を運び出し、できるだけ活かす。
そして、森の成長を見ながら再び手入れする。
こうした作業を積み重ねながら、森林を育てることと木を利用することを両立させていきます。

また、自伐型林業は単に小型の機械を使う林業ということでもありません。
安全に作業するための技術、山林所有者との合意、施業する山の確保、機械の維持、木材の搬出や販売などを含め、地域で森林管理を続けられる仕組みをつくることが大切です。
安芸太田町で、森と人をつなぐ
一般社団法人安芸太田町自伐型林業を推進する会では、森林整備や作業道づくりだけでなく、見学会・研修、山林管理の相談、伐った木の活用などにも取り組んでいます。
森を知る人、手入れする人、木を使う人を少しずつ増やし、森林の手入れを地域で続けていく。
その積み重ねを、私たちの理念である「いのちを育む環境を未来へつなぐ」ことにつなげていきたいと考えています。
もっと詳しく知りたい方へ
自伐型林業の考え方や、私たちが安芸太田町で実践している森林管理については、「自伐型林業とは」で詳しく紹介しています。
作業道のルート選定、切土・盛土、排水、洗い越し、ヘアピンカーブなどの施工方法は、「壊れない作業道シリーズ」をご覧ください。
間伐した木や作業道づくりで伐採した木を、製材、薪、炭、ホダ木などに活かす実践は、「山の木を活かすシリーズ」で紹介しています。
実際の森林を見てみたい方や、自伐型林業を学んでみたい方は、研修・見学会の案内をご覧ください。
所有する山の管理について悩んでいる方は、「山林管理を相談する」をご覧いただき、お気軽にご相談ください。
まとめ
自伐型林業は、木を伐ることだけを目的とした林業ではありません。
森の状態を見ながら手入れを続け、伐った木を活かし、また同じ森へ戻っていく。
その繰り返しによって、今ある森林を次の世代へつないでいく林業です。
私たちは広島県安芸太田町で、100年先を見据えながら、森を守り、育て、活かす取り組みを続けていきます。
この記事の執筆・監修
久保谷 幸雄|林業家
一般社団法人 安芸太田町自伐型林業を推進する会 監事
広島市出身。2020年から自伐型林業に取り組み、2022年に脱サラして専業の林業家に。広島県安芸太田町を拠点に、森林作業道づくり、間伐、伐倒・造材・搬出、森林資源の活用を実践しています。
自伐型林業歴:6年|森林作業道の作設実績:6,500m超(2026年9月現在)
愛機:STIHL MS 500i/MS 201 C-M
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