【壊れない作業道シリーズ①】森林作業道の基本|自伐型林業の道づくり

山を壊さず、100年先の森を育てるための道づくり。 自伐型林業における「壊れない作業道」の基本を解説します。

自伐型林業による幅員約2.5mの壊れない森林作業道、樹齢100年以上の豊かな針広混交林(イメージ図)

【壊れない作業道シリーズ】

① 基本
② 木組み
③ 排水
④ ヘアピンカーブ
⑤ 洗い越し
⑥ 抜根
⑦ ルート選定
⑧ なぜ道が壊れるのか
⑨ 支障木伐採


この記事でわかること

・森林作業道の役割 ・「壊れない道づくり」の考え方 ・なぜ幅員約2.5mなのか ・林道との違い ・自伐型林業における路網設計の基本

森を壊さない道づくり

自伐型林業では、山を大きく削る道づくりは行いません。

必要最小限の幅で、地形に沿いながら、長く使い続けられる作業道をつくります。

これは単に「細い道」をつくるということではありません。

山の地形や水の流れを読み、森林への負担を減らしながら、100年先まで森を育て続けるための道づくりです。

作業道は、木を搬出するためだけの道ではありません。

森林を育て、守り続けるための“森のインフラ”です。

森林作業道とは

森林作業道とは、森林整備や間伐などを行うために設置する作業用の道です。

自伐型林業では、森林を長期的に管理していくため、繰り返し利用できる壊れにくい作業道を整備します。

一般的な大型林業のように大量搬出を前提とした広い道ではなく、山の地形へ沿わせながら、必要最小限で開設するのが特徴です。

また、作業道は一度作って終わりではありません。

間伐・搬出・森林整備を繰り返しながら、数十年単位で森とともに使い続けていきます。

森林作業道と林道の違い

森林作業道と林道は、同じ「山の道」でも役割が大きく異なります。

林道は、車両が安全に通行できるように整備された公共性の高い道路です。

幅員も広く、大型車両が通行できる構造になっています。

一方、森林作業道は、森林整備や間伐を行うために山の地形へ沿わせながら最小限で開設する道です。

自伐型林業では、必要以上に山を削らず、幅員約2.5m程度の壊れにくい作業道を長く使い続けます。

つまり、

・林道 = 「移動のための道路」 ・森林作業道 = 「森を育てるための道」

という違いがあります。

一般的な大型路網自伐型林業の作業道
幅員3m〜5m幅員約2.5m
大量搬出型長期施業型
地形改変が大きい地形に沿う
短期利用長期利用
大型重機中心小型重機中心


なぜ幅員約2.5mなのか

自伐型林業の作業道は、一般的な大型林業の道よりも細く、幅員約2.5m程度で施工します。

これは単に「狭い道を作りたい」のではありません。

山を壊さず、長く使い続けるためです。

道幅を広げれば、その分だけ

・切土 ・盛土 ・法面崩壊 ・排水不良

のリスクが増えます。

逆に、必要最小限の幅員で地形に沿わせることで、山への負担を大きく減らすことができます。

自伐型林業では、

「山に道を押し付ける」のではなく、 「山に合わせて道を通す」

ことを大切にしています。

壊れない道づくりの3つのポイント

① 地形に沿って道を通す

壊れない道づくりで最も大切なのは、
山の形に逆らわないことです。

急な直線道路ではなく、
地形に沿ってゆるやかにカーブさせながら道を通します。

これにより

・雨水が集中しない
・土が流れにくい
・崩壊を防げる

という効果があります。

② 必要以上に山を削らず道幅を広げない

自伐型林業では、作業道の幅を
2〜2.5m程度に抑えることが一般的です。

幅を広くすると

・切土や盛土が増える
・斜面が不安定になる
・崩れやすくなる

ため、必要最小限の幅でつくることが重要です。

③ 水の流れをコントロールする

作業道が壊れる最大の原因は です。

そのため、道づくりでは

・水の逃げ道をつくる
・水をためない
・路面に流れを集中させない

といった工夫をします。

適切な排水を行うことで、
道は長く安定して使うことができます。

よくある「壊れる道」の特徴

壊れる作業道には共通点があります。

・谷へ向かって一直線に登る
・排水を考えていない
・盛土へ依存している
・幅を広げすぎている
・地形を無視している

施工直後は問題なく見えても、数年後の大雨で崩壊するケースは少なくありません。

だからこそ、最初のルート選定と排水設計が重要になります。

壊れない道は、時間をかけて証明される

壊れない作業道は、施工した直後だけでは判断できません。

本当に重要なのは、

・数年後
・豪雨のあと
・繰り返し使用したあと

に、どうなっているかです。

私たちは安芸太田町の山で、実際に繰り返し使いながら、

・路面侵食が起きていないか
・排水が機能しているか
・路肩が安定しているか

を確認しながら、道づくりを行っています。

「つくって終わり」ではなく、長く使い続けられること。

それが、壊れない作業道の重要な考え方です。

作業道は「森づくり」そのもの

自伐型林業では、道づくりは単なる搬出技術ではありません。

長伐期多間伐を続けながら、100年先の森を育てていくための基盤です。

壊れない作業道があることで、

・繰り返し間伐できる
・林内へ無理なく入れる
・森林を健全に維持できる
・大径木を育てられる
・針広混交林へ移行できる

という長期的な森づくりが可能になります。

つまり、

「道づくり = 森づくり」

なのです。

なぜ安芸太田町で壊れない道が必要なのか

安芸太田町は、面積の約9割を森林が占め、急峻な地形が特徴です。

無理に山を削った道や、排水を考えていない道は、
豪雨時に崩壊しやすくなります。

道が壊れると、

・山が荒れる
・土砂が流出する
・森林整備が継続できない

といった問題につながります。

そのため私たちは、

・地形に逆らわない
・水を集めない
・長く維持できる

壊れない作業道づくりを重視しています。

これは単なる施工技術ではなく、
100年先まで森を育てるための基盤だと考えています。

まとめ

壊れない作業道づくりで最も重要なのは、

・地形を読む
・山へ負担をかけない
・水を読む

という考え方です。

作業道は、一度作って終わりではありません。

数十年先まで森を育て続けるための、森林経営の基盤になります。

自伐型林業では、山を壊さず、森を育てながら使い続ける道づくりを大切にしています。

事務局 久保谷

関連記事:壊れない作業道シリーズ

① 森林作業道の基本|自伐型林業の道づくり

② 岩を避ける木組み工法|自伐型林業の現場施工

③ 作業道排水の基本|壊れない道づくりの考え方

④ ヘアピンカーブ施工|急傾斜地で壊れない道をつくる技術

⑤ 洗い越し施工|壊れない作業道の排水技術

⑥ 抜根技術|根の性質を読むことで作業効率は劇的に変わる

⑦ ルート選定|壊れるかどうかは8割ここで決まる

⑧ なぜ道が壊れるのか|崩壊する作業道には必ず原因がある

⑨ 支障木伐採|谷側へ傾いた木を安全に倒す「牽引伐倒技術」

山林をお持ちの方へ

・壊れない作業道は、山の価値を大きく左右します。
・作業道づくり・森林整備のご相談を受け付けています。

林業を始めたい方へ

・作業道づくりの見学・研修を開催しています。
・初心者の方でも参加可能です。