自伐型林業(じばつがたりんぎょう)とは、山林の所有者や地域の担い手が、自ら森の手入れや木材の利用に関わり、小規模な施業を継続していく林業のあり方です。

自分の山だけでなく、所有者と合意したうえで、借りた山や管理を任された山で取り組む形もあります。

私たちは安芸太田町で、森を育てることと、木を使うことを両立させ、次の世代へつなぐ自伐型林業に取り組んでいます。

立木を残した森林の斜面に沿って延びる、作設から2年以上が経過した森林作業道。路面には落葉や枝葉が積もっている。
木を残しながら森を育てる自伐型林業。作設から2年以上が経過した作業道は、周囲の森林になじみ、継続的な森林管理を支えています。

森を育てながら、木を活かし続ける

私たちが大切にしているのは、同じ森に繰り返し入り、その変化を見ながら手入れを続けることです。

木の育ちを見て、残す木と伐る木を選ぶ。作業道を手入れしながら使い、伐った木を運び出す。その木に合った用途を考え、暮らしや仕事に活かす。

この積み重ねによって、森林の手入れと木材利用を、地域で続けられる仕事につなげていきます。

森の手入れと木材利用を継続する自伐型林業の考え方を紹介するマンガ
森を育て、木を活かし、その仕事を地域で続けていく自伐型林業の考え方。

私たちが実践する自伐型林業の特徴

1.間伐を繰り返し、長い年月をかけて木を育てる

木が混み合った森林では、一部の木を選んで伐り、残す木が育つ空間を整えます。これが「間伐」です。

私たちは、森の状態に応じて間伐を繰り返し、長い年月をかけて木を育てる「長伐期多間伐」を基本としています。

残す木は、太さだけでなく、樹冠の広がり、幹の状態、周囲の木との位置関係などを見て選びます。間伐の時期や量も一律に決めず、樹種や成長、木の混み具合、風雪の影響などを踏まえて判断します。

一度に多く伐ることよりも、その後に残る森がどう育つかを考え、将来の木材利用につなげていきます。

2.壊れにくい作業道をつくり、手入れしながら使う

森に繰り返し入り、間伐や木材の搬出を続けるための基盤が、森林作業道です。

私たちは、地形に合わせてルートを選び、使用する車両や機械が安全に通れる範囲で道幅を抑え、山を削る量や土を盛る量をできるだけ小さくします。

特に大切なのが、水を集めず、道に沿って長く流さず、こまめに分散して逃がすことです。水を出した先の斜面への影響も確認します。

施工後も点検と補修を続け、次の間伐や森林管理に使える道として維持していきます。

※本サイトの「壊れない作業道」は、絶対に壊れないという意味ではありません。地形・土質・水の流れなどに応じた施工と、施工後の点検・維持管理によって、壊れにくく長く使い続けることを目指しています。

壊れない作業道の考え方を知る

3.伐った木を、その木に合った形で活かす

間伐や作業道づくりで伐採した木は、状態や大きさに応じて活用します。

市場へ出荷するほか、板や建築材に製材したり、薪、炭、シイタケのホダ木、木工品などに使ったりする方法があります。

すべてを同じ用途にそろえるのではなく、一本一本の特徴を見て、できるだけ価値を活かすことを大切にしています。

一方で、利用に適さない木を森林の循環へ還すことも含め、森全体を見ながら扱いを考えます。

山の木を活かす実践を見る

4.規模と経費を考え、地域で続けられる仕事にする

自伐型林業では、作業する人数や山の条件に合わせて、機械や施業の規模を考えます。専業として取り組むほか、農業などほかの仕事と組み合わせる関わり方もあります。

ただし、小規模であれば必ず経費が少なく済み、収益が得られるわけではありません。施業できる山の確保、技術の習得、機械の維持費、木材の搬出条件や販売先などを見通すことが必要です。

私たちは、森林の手入れと木材利用を地域の人や仕事につなげ、技術や収入が地域に残る仕組みを育てていきたいと考えています。

100年先を見据え、森の変化を見守る

森づくりは、一度の間伐で完成するものではありません。

間伐後の木の成長や、林内に届く光、地面を覆う草木の変化などを確かめ、次の手入れに活かします。地表の植物や落ち葉を保ち、土が流れ出にくい状態を目指すことも大切です。

場所によっては、自然に育つ広葉樹を残し、スギやヒノキと広葉樹が混じる森へ育てていくことも考えます。

こうした変化は、地形や土壌、光の入り方、シカによる食害などで異なります。どの山も同じ姿になると考えず、その場所に合った森林管理を続けます。

今ある木を活かしながら、次の世代が関わり続けられる森を残す。 それが、私たちの目指す森づくりです。

間伐を繰り返しながら木を育て、針葉樹と広葉樹が混じる100年後の森を目指す模式図
長い年月をかけて目指す森の一例です。実際の変化は、森林の状態や立地条件によって異なります。

安芸太田町で、人と森をつなぐ

森林の手入れを続けるには、技術だけでなく、山林の所有者と担い手が出会い、安心して関われる関係をつくることが必要です。

一般社団法人安芸太田町自伐型林業を推進する会では、森林整備や作業道づくりの実践に加え、見学会・研修、山林管理の相談などを通じて、人と森をつなぐ取り組みを進めています。

森を知る人、手入れする人、木を使う人を少しずつ増やし、森林の手入れを地域で続けていく。

その積み重ねを、私たちの理念である「いのちを育む環境を未来へつなぐ」ことにつなげていきます。

安芸太田町の山林から望む、山々と太田川流域の風景
安芸太田町の森林を、地域の人とともに次の世代へつないでいきます。

山林の管理や、自伐型林業に関心のある方へ

所有する山の管理を考えている方

山の手入れができていない、今後の管理をどうするか悩んでいるなど、まずは状況をお聞かせください。所在地や分かる範囲の山林情報をもとに、ご相談を受け付けています。

現場を見たい・技術を学びたい方

自伐型林業に関心のある方は、見学会や研修の案内をご覧ください。山林を所有していない方も、学ぶことから関わることができます。

実際に作業を始める際は、安全に作業するための知識と技術を学び、経験者の指導を受けながら段階的に取り組むことが大切です。

作業道の技術を詳しく知りたい方へ

ルート選定、切土・盛土、排水などの考え方と現場の施工事例は、「壊れない作業道シリーズ」で紹介しています。