【壊れない作業道シリーズ③】作業道排水の基本|壊れない道づくりの考え方
【壊れない作業道シリーズ】
① 基本
② 木組み
③ 排水
④ ヘアピンカーブ
⑤ 洗い越し
⑥ 抜根
⑦ ルート選定
作業道が壊れる最大の原因は 水です。
どれだけ丁寧に道を作っても、排水が適切でなければ
雨水は道を流れ、路面や路肩を削り、やがて道は崩れます。
自伐型林業の作業道は
「何十年も使い続ける道」です。
そのため私たちは、道を作るときに必ず
排水を最優先に考えた施工を行っています。
今回は、作業道の排水施工の様子を紹介します。
作業道づくりで最も重要なのは排水
自伐型林業の作業道は、一般的な林道とは違い
路盤を大きく掘削せず、
土、石、丸太など自然にあるものを最大限活用します。
よって、道を守るためには
- 雨水を道に流さない
- 路面に水を溜めない
- 水を速やかに外へ逃がす
この3つがとても重要になります。
つまり
「道を作る=水の道を設計する」
ということでもあります。
排水の基本構造
作業道の排水は基本的に次の構造で作ります。
① 路面排水(横断勾配)
路面は完全な水平ではなく
わずかに谷側へ傾けます。
これにより
雨水は路面を流れ
自然に谷側へ排水されます。
② 横断排水
長い距離を水が流れると
路面が削られるため
20~30m間隔で
横断排水
を設けます。
これにより水は
路面を流れ続けることなく
途中で外(谷側)へ逃げます。
③ 山側の水を道に入れない
道を壊す最大の原因は
山側から流れ込む水です。
そのため
- 山側を必要以上に切らない
- 山側の水の流れを読む
- 水が集中する場所を作らない
という施工が重要になります。
施工の様子

路面に流れる水を外へ逃がすことで、路面侵食を防ぐ。
作業道に横断排水を施工した状態です。
(土質が赤土で雨の後に木材を搬出したので
林内作業車のキャタ跡が残っていますが)
出口で土砂がたまって詰まったりしないように
山側(右)から谷側(左)に向けて出口を広く三角形にします。
これだけでも
雨水による浸食を大きく防ぐことができます。
また、全体的に路面を谷側に傾けて
路面排水も合わせて行っています。

谷側の盛土部分です。
盛土は締め固めながら作り
出口を広くして水が溜まらない形状にします。

山の形に沿った、地形に逆らわない作業道の状況です。
(左側は、水は常時流れていませんが 谷になっています)
一定の角度で登り続けるのではなく、
勾配にメリハリをつけて踊り場を作り、
勾配のゆるい所で排水します。
このように
- 路面を滑らかにする
- 水の流れを止めない
- 水の出口を作る
ことで
道は長く維持されます。
洗い越し(横断排水のひとつ)

洗い越しとは、沢を横断する場所で
水を管に通したり橋を渡したりせず、
道の上に水をそのまま流す構造です。
一般的な林道では
暗渠(パイプ)
コンクリート構造物
などが使われることもありますが、
自伐型林業の作業道では
自然の水の流れを活かす構造を重視します。
その代表的な方法が 洗い越しです。
(「洗い越し」の詳細は別の記事で紹介します)
作業道は「作った後」が重要
作業道は作っただけでは終わりません。
むしろ重要なのは
作った後の管理です。
特に
- 大雨のあと
- 台風のあと
- 雪解けのあと
には必ず道を確認します。
(場合によっては雨の日にも見に行きます)
もし
- 水の流れが変わっている
- 土砂が溜まっている
- 路面が削れている
場合は
早めに整備します。
小さな補修を続けることで
作業道は何十年も使い続けることができます。
自伐型林業の作業道の考え方
自伐型林業では
- 道幅はできるだけ狭く
- 地形に沿って
- 水をコントロールする
という考え方で道を作ります。
こうして作られた道は
- 森林へのダメージが小さい
- 崩れにくい
- 長期間使える
という特徴があります。
森を守るための作業道
作業道は単なる作業のための道ではありません。
適切に作られた作業道は
- 森林整備を支え
- 山の管理を可能にし
- 森林を守る基盤になります。
私たちはこれからも
森を守りながら使い続けられる作業道づくり
を続けていきます。
まとめ
作業道を壊さないための最大のポイントは
排水です。
- 水を道に入れない
- 水を溜めない
- 道の上に水を流し続けない
この3つを守ることで
作業道は長く使うことができます。
事務局 久保谷
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