【山の木を活かす⑨】雨の日は薪づくり|支障木のミズナラとリョウブを薪へ

山で伐った木は、木材として出荷できるものばかりではありません。

作業の支障となって伐採した木も、薪にすれば地域で使える大切な森林資源になります。

8月17日は曇りの予報でしたが、朝からかなりの雨。

午前中の現場作業は諦め、屋根のある作業小屋で薪づくりをすることにしました。

作業小屋に運び込んだ支障木のミズナラとリョウブ
雨のため山での作業を切り上げ、作業小屋で薪づくり。昨年から今年にかけて伐採したミズナラとリョウブの支障木です。

支障木のミズナラとリョウブを薪に

今回薪にするのは、ミズナラとリョウブです。

昨年から今年にかけて、施業地で支障木として伐採していたものを軽トラックで作業小屋まで運びました。

まずチェーンソーで、薪ストーブなどで使いやすい30~35cm程度の長さに玉切りしていきます。

チェーンソーで30〜35cm程度に玉切りしたミズナラとリョウブ
作業小屋へ運んだミズナラとリョウブを、薪ストーブなどで使いやすい30~35cm程度に玉切りしました。

伐採した木を山に残して終わりにするのではなく、使えるものはできるだけ活かす。

薪も、山の木を最後まで使う方法の一つです。

キンドリングクラッカーを使って薪割り

玉切りした木は、キンドリングクラッカーとハンマーを使って人力で割りました。

キンドリングクラッカーは、刃が上向きに固定され、その周囲をリングで囲んだ薪割り道具です。

リングの中に木を置き、上からハンマーで叩いて刃に押し込んでいきます。

斧のように刃物そのものを振り下ろさないため、刃の位置が動かず、薪割りを比較的安全に行えるのが特徴です。

キンドリングクラッカーとハンマーを使って薪を割っている様子
キンドリングクラッカーに木を置き、ハンマーで叩いて固定された刃に押し込みながら薪を割ります。

この道具が生まれたきっかけも少しユニークです。

ニュージーランドの少女が13歳のとき、母親が焚き付けを割っていて指をけがしたことから、「もっと安全に木を割れないか」と考え、学校の科学フェアで試作品を製作しました。

そのアイデアが商品化され、現在のキンドリングクラッカーにつながっています。

シンプルな道具ですが、実際に使ってみるとよく考えられた構造です。

ミズナラは薪に適した広葉樹

今回は、まずミズナラを中心に薪割りを進めました。

ミズナラは比較的密度の高い広葉樹で、火持ちがよく、薪として利用しやすい樹種として知られています。

十分に乾燥させれば、薪ストーブなどの燃料として活用できます。

キンドリングクラッカーで割っているミズナラの原木
ミズナラを薪割り。割ることで内部まで乾燥しやすくなり、十分に乾燥させてから薪として利用します。

リョウブは想像以上に硬かった

一方、今回かなり苦戦したのがリョウブです。

柄の長い大きなハンマーで叩いてもなかなか割れず、ミズナラとの違いを実際の作業ではっきり感じました。

木材資料に掲載された気乾比重の一例では、

ミズナラ 0.68
リョウブ 0.74

とされており、リョウブの方が気乾比重の高い材であることが分かります。
※気乾比重は『原色 木材 大図鑑』(保育社)を引用した岡山理科大学資料による。

もちろん、薪の割れやすさは比重だけで決まるものではなく、木目や節、含水状態、木ごとの個体差によっても変わります。

それでも、今回のリョウブについては「硬い木だ」ということを実感する薪割りになりました。

キンドリングクラッカーで薪割りを試したリョウブの原木
リョウブはハンマーで叩いても簡単には割れませんでした。無理に作業を続けず、今回は途中で保留しました。

リョウブも比較的比重の高い広葉樹です。
今回は無理に割らず、いったん保管することにしました。

後日、知り合いの薪割り機を借りて割り、十分に乾燥させたうえで、薪としてどのような燃え方をするのか実際に確かめてみたいと思います。

ミズナラのように薪として広く利用されている樹種ではないからこそ、実際に使って確かめてみるのも面白いところです。

支障木も、地域で使える資源に

今回使ったミズナラとリョウブは、もともとは山の作業のために伐採した支障木です。

しかし、伐採した時点で木の価値がなくなるわけではありません。

木材として使う。
薪にする。
炭にする。
ホダ木にする。
枝まで利用する。

その木に合った使い方を考えることで、山から出てくる木をできるだけ無駄なく活かすことができます。

雨で山に入れない日も、山から出した木を次の資源へ変える時間になりました。

これからもしっかり乾燥させ、地域で使える薪として活用していきます。

作業小屋に積んだ薪と玉切りしたミズナラ・リョウブの原木
薪に割ったミズナラと、これから薪にするリョウブ。十分に乾燥させ、地域で使える燃料として活用していきます。


この記事の執筆・監修

久保谷 幸雄|林業家
一般社団法人 安芸太田町自伐型林業を推進する会 監事

広島市出身。2020年から自伐型林業に取り組み、2022年に脱サラして専業の林業家に。広島県安芸太田町を拠点に、森林作業道づくり、間伐、伐倒・造材・搬出、森林資源の活用を実践しています。

自伐型林業歴:6年|森林作業道の作設実績:6,500m超(2026年9月現在)
愛機:STIHL MS 500i/MS 201 C-M

山の木を活かすシリーズ

一本の木を、どこまで活かせるか。

① 製材編|コナラを板材として活かす
② ホダ木編|コナラをシイタケ原木として活かす
③ 炭焼き編|コナラとヤマザクラを木炭として活かす
④ 枝利用編|ヤマザクラとコナラの枝を手すり・道具の取っ手として活かす
⑤ 雪害木編|チェーンソーミルで山の木を柱や梁などの構造材として活かす
⑥ 薪編|出荷できないヒノキも燃料として活かす
⑦ 萌芽更新編|ミズナラを伐って、使って、また育てる
⑧ 森林循環編|立ち枯れ木を森へ還す
⑨ 薪づくり編|支障木のミズナラとリョウブを薪として活かす
⑩ 製材編②|チェーンソーミルと特注ガイドで雪害木のスギを板にする

同じ一本の木でも、太さや形、品質によって活かし方は変わります。

私たちは、山で育った木をできる限り無駄なく活かし、
森の価値を未来へつないでいきたいと考えています。

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