【山の木を活かす⑤】雪害木を柱や梁へ|チェーンソーミルで山の木を構造材として活かす

雪害木にも、まだ活かせる価値があります

安芸太田町は広島県内でも有数の豪雪地帯で、毎年のように積雪による雪害が発生します。

折れたり倒れたりした木は利用されないまま森林内に残されることもありますが、腐朽していなければ柱や梁などの建築材として活用できる可能性があります。

ただし、雪害木は折損時に木材の繊維が損傷している場合があります。そのため利用する際は、折れた部分やその周辺を十分に確認し、腐朽や大きな割れの有無を見極めたうえで、用途を判断することが重要です。

今回は、雪害木をチェーンソーミルで製材し、構造材として活かした取り組みをご紹介します。

※雪害木とは、積雪の重みで折れたり倒れたりした木のことです。

積雪による雪害で倒れ林道をふさいだ木
雪の多い安芸太田町では、積雪によって折れたり倒れたりした木が林道をふさぐことがあります。
積雪の重みで幹が折れた森林内の雪害木
積雪の重みで幹が折れた雪害木。利用できる部分を見極めながら活用します。

一本一本、手作業で皮を剥ぐ

雪害木は乾燥が進む前に皮を剥いでおくことで、虫害や腐朽を抑えやすくなります。

また、皮を剥くことで乾燥もしやすくなり、木材として利用しやすくなります。

今回は丸太の形を活かしながら、柱材として使用しました。

雪害木の丸太の皮を手作業で剥いでいる様子
雪害木を木材として使うため、丸太の形を残したまま手作業で皮を剥いでいきます。
皮を剥ぎ終えた柱材として利用する雪害木の丸太
皮を剥ぎ終えた雪害木。丸太の形や曲がりをそのまま活かし、柱などに利用します。

皮を剥いだ丸太の表面を炭化させています。柱として利用する際は、地中に埋める部分を炭化させることで腐朽しにくくなり、耐久性の向上が期待できます。
地中に埋める部分の表面を焼いて炭化させた皮むき丸太
柱として地中に入る部分を焼き、丸太の表面を炭化させました。
皮を剥いだ細い丸太を柱として立てた作業小屋
雪害木や市場へ出荷しにくい細い丸太も、状態を確認しながら柱材として活用しました。
雪害木の丸太を柱や梁として組んだ作業小屋の骨組み
雪害木を柱だけでなく梁や桁にも利用。一本ごとの曲がりや形を見ながら組み合わせています。

チェーンソーミルで必要な材を製材

今回、床板などに使用した板材は、チェーンソーとチェーンソーミルを使って製材しました。

大型製材機ではなく、山へ持ち込める小規模な設備で必要な寸法だけを製材できるのが、この方法の大きな特徴です。

大径木を製材所へ運ぶには、丸太を山から搬出し、出荷しなければなりません。

一方、チェーンソーミルは現場へ持ち込めるため、その場で必要な寸法に製材できます。

小規模な森林経営では、この機動力が大きなメリットになります。

自伐型林業では、大規模な設備がなくても山の資源を有効利用できることが大きな強みです。

チェーンソーミルで雪害木の丸太を板材に製材している様子
チェーンソーミルを使い、山の中で必要な寸法の板材を製材していきます。
チェーンソーミルで製材し軽トラックに積んだ長尺の板材
山で製材した長尺の板材。必要な寸法に加工してから運び出すことができます。


必要な分だけを山で製材する

チェーンソーミルは、大型製材機のような生産量はありません。

しかし、

・必要な寸法だけ製材できる
・山から重い丸太を何本も運ばなくてもよい
・少量多品種の製材に向いている

という特徴があります。

自伐型林業のような小規模施業との相性は非常に良い製材方法です。

なお、今回使用したチェーンソーミルには、製材精度や作業性を高めるための工夫も取り入れています。

この製材方法については、ガイドバーの工夫も含め、別の記事で詳しく紹介する予定です。

チェーンソーミルで雪害木から製材した角材と板材
丸太の太さや形を見ながら、用途に合わせて必要な寸法の材を挽き出しました。


雪害木は構造材として生まれ変わる

製材した板材や丸太は、

・柱
・梁
・床材
・階段材

などの構造材として活用しました。

雪害木であっても、適切に選木し加工すれば、長く使える木材として新たな役割を担うことができます。

雪害木から製材した板を張った作業小屋の床
チェーンソーミルで製材した板を、作業小屋の床材として利用しました。
雪害木の丸太と製材した材で作った作業小屋の階段
雪害木からつくった材を階段にも活用。丸太と製材した材を組み合わせています。
雪害木を活用して作った階段を側面から見た様子
丸太の自然な形を残しながら、踏み板と組み合わせて階段に仕上げました。

山の木を最後まで活かす

一本の木には、木材だけでなく、多くの可能性があります。

雪害によって倒れた木も、柱や梁、床材などの構造材として活かすことで、新たな価値を生み出すことができます。

私たちは、森林整備の過程で生まれる木をできる限り無駄なく活用し、森林資源を地域の中で循環させる取り組みを続けています。

山から搬出された木は、品質や太さによって用途が変わります。

建築材になる木もあれば、ホダ木になる木、炭になる木、枝まで活用される木もあります。

一本の木を用途ごとに使い分けることで、森林資源を無駄なく循環させることができます。


この記事の執筆・監修

久保谷 幸雄|林業家
一般社団法人 安芸太田町自伐型林業を推進する会 監事

広島市出身。2020年から自伐型林業に取り組み、2022年に脱サラして専業の林業家に。広島県安芸太田町を拠点に、森林作業道づくり、間伐、伐倒・造材・搬出、森林資源の活用を実践しています。

自伐型林業歴:6年|森林作業道の作設実績:6,500m超(2026年9月現在)
愛機:STIHL MS 500i/MS 201 C-M


山の木を活かすシリーズ

一本の木を、どこまで活かせるか。

① 製材編|コナラを板材として活かす
② ホダ木編|コナラをシイタケ原木として活かす
③ 炭焼き編|コナラとヤマザクラを木炭として活かす
④ 枝利用編|ヤマザクラとコナラの枝を手すり・道具の取っ手として活かす
⑤ 雪害木編|チェーンソーミルで山の木を柱や梁などの構造材として活かす
⑥ 薪編|出荷できないヒノキも燃料として活かす
⑦ 萌芽更新編|ミズナラを伐って、使って、また育てる
⑧ 森林循環編|立ち枯れ木を森へ還す
⑨ 薪づくり編|支障木のミズナラとリョウブを薪として活かす
⑩ 製材編②|チェーンソーミルと特注ガイドで雪害木のスギを板にする

同じ一本の木でも、太さや形、品質によって活かし方は変わります。

私たちは、山で育った木をできる限り無駄なく活かし、
森の価値を未来へつないでいきたいと考えています。

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