【山の木を活かす④】枝まで使い切る|ヤマザクラとコナラを手すり・道具の取っ手に
森林作業道を開設していると、ルート上に生えている広葉樹を「支障木」として伐採することがあります。
これまで「山の木を活かす」シリーズでは、作業道づくりで伐採した木を、製材したり、シイタケのホダ木にしたり、炭にしたりする取り組みを紹介してきました。
山で伐った木は、幹だけを使うものではありません。
今回は、これまで見落とされがちだった「枝」を活かしてみました。
ヤマザクラとコナラの枝を山から持ち帰り、作業小屋の手すりや道具箱の取っ手として使ってみました。
支障木の枝も山の資源
今回使ったのは、森林作業道の開設に伴って伐採したヤマザクラとコナラの枝です。
伐採した木を玉切りして利用するだけでなく、使えそうな枝も作業道を使って搬出し、軽トラックで作業小屋まで運びました。
太い幹だけが木材ではありません。
形や太さを見ながら用途を考えれば、枝にもさまざまな使い道があります。
特に広葉樹の枝は、一本一本に曲がりや節があり、製材された木材とは違った表情があります。
その自然な形を、そのまま生かしてみることにしました。
コナラの枝を階段の手すりに
作業小屋の階段には、コナラの枝を手すりとして取り付けました。
枝の表面を磨いたあと、表面を焼き、オイルステインで仕上げています。
コナラは比較的硬く、強度のある材です。
薪やシイタケのホダ木として利用されることの多い樹種ですが、木目にも存在感があり、家具や木工などにも利用できます。
今回は、枝の適度な太さと自然な曲がりを生かすことで、製材品とはひと味違う手すりになりました。

作業道の支障木として伐採したコナラの枝を、作業小屋の階段手すりとして活用。表面を磨いて焼き、オイルステインで仕上げました。
ヤマザクラの枝を落下防止の手すりに
階段上部には、ヤマザクラの枝を落下防止用の手すりとして取り付けました。
こちらも枝を磨き、表面を焼いたあと、オイルステインで仕上げています。
ヤマザクラは緻密で比較的硬く、磨くと滑らかな木肌になります。
サクラ類は家具や木工品、内装材などにも使われ、使い込むことで色合いや風合いが変化していくのも魅力です。
まっすぐな製材品に加工するのではなく、枝そのものの形を残して使うことで、山で育った木らしい表情を感じられる仕上がりになりました。

ヤマザクラの枝を磨いて表面を焼き、オイルステインで仕上げ、階段上部の落下防止用手すりとして活用しました。
ヤマザクラの枝を「オカモチ」の取っ手に
もう一つ、ヤマザクラの枝を使って作ったのが、作業道具を入れて持ち運ぶためのオカモチの取っ手です。
木枠にはヒノキを製材した板を使い、サンダーで磨いたあと、オイルステインで仕上げました。
その取っ手として、ヤマザクラの枝を利用しています。
直線的に加工したヒノキの板と、自然な形を残したヤマザクラの枝。
異なる樹種と木の形を組み合わせることで、山の木を身近な道具として使うことができます。

製材したヒノキで木枠を作り、ヤマザクラの枝を取っ手として活用。作業道具を持ち運ぶためのオカモチとして製作しました。
薪やホダ木だけではない、広葉樹の使い道
コナラやヤマザクラなどの広葉樹は、山ではさまざまな形で利用することができます。
コナラはシイタケのホダ木や薪、炭などに適しているほか、木工材として使うこともできます。
ヤマザクラも薪や炭として利用できますが、材の色合いや木目を生かして、家具や木工品、内装材などに利用されてきました。
そして今回のように、幹だけでなく枝の形そのものを生かすことも一つの利用方法です。
木を伐ったあと、
「これは何に使えるだろう」
と考えてみる。
そこから、山の木の新しい使い道が生まれます。
「伐る」だけで終わらせない林業へ
自伐型林業では、森林に小規模な作業道を入れ、繰り返し山に入りながら森林を管理していきます。
作業道があることで、間伐材だけでなく、今回のような広葉樹や枝なども山から少しずつ運び出しやすくなります。
大きな木材として販売できるものだけが、山の価値ではありません。
製材する。
ホダ木にする。
炭にする。
薪にする。
そして、枝を手すりや道具として使う。
一本の木を用途に応じて使い分けることで、これまで山に残していたものにも価値を見いだすことができます。
山の木を、できるだけ無駄なく使う。
小さな取り組みですが、こうした積み重ねも、地域の森林資源を生かしていく林業の一つの形だと考えています。
この記事の執筆・監修
久保谷 幸雄|林業家
一般社団法人 安芸太田町自伐型林業を推進する会 監事
広島市出身。2020年から自伐型林業に取り組み、2022年に脱サラして専業の林業家に。広島県安芸太田町を拠点に、森林作業道づくり、間伐、伐倒・造材・搬出、森林資源の活用を実践しています。
自伐型林業歴:6年|森林作業道の作設実績:6,500m超
愛機:STIHL MS 500i/MS 201 C-M
山の木を活かすシリーズ
一本の木を、どこまで活かせるか。
① 製材編|コナラを板材として活かす
② ホダ木編|コナラをシイタケ原木として活かす
③ 炭焼き編|コナラとヤマザクラを木炭として活かす
④ 枝利用編|ヤマザクラとコナラの枝を手すり・道具の取っ手として活かす
⑤ 雪害木編|チェーンソーミルで山の木を柱や梁などの構造材として活かす
⑥ 薪編|出荷できないヒノキも燃料として活かす
⑦ 萌芽更新編|ミズナラを伐って、使って、また育てる
⑧ 森林循環編|立ち枯れ木を森へ還す
⑨ 薪づくり編|支障木のミズナラとリョウブを薪として活かす
同じ一本の木でも、太さや形、品質によって活かし方は変わります。
私たちは、山で育った木をできる限り無駄なく活かし、
森の価値を未来へつないでいきたいと考えています。
山林をお持ちの方へ
・壊れにくい作業道は、山の価値を大きく左右します。
・作業道づくり・森林整備のご相談を受け付けています。
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