【活動報告】入山・下山の安否確認アプリを作りました|山仕事の安全管理を補う

当会では、メンバーが山に入ったこと、そして無事に下山したことをお互いに確認できる「入山・下山 安否確認アプリ」を作り、現場での運用を始めました。

自伐型林業では、一人で山に入り、作業することもあります。

誰が山に入っているのか。
作業を終えて、無事に下山したのか。

こうした情報をメンバー同士で確認しやすくし、日々の安全管理を補うためにつくったものです。

入山・下山ボタンとメンバーの入山状況を一覧表示する安否確認アプリの画面
運用開始時(V1.0)の画面。名前を選んで「入山」「下山」を押すだけのシンプルな操作を基本としています。実際の運用で出た課題を反映し、現在はV1.3まで更新しています。※公開用に氏名等を加工しています。

LINEでの下山連絡を、もう少し確認しやすく

これまで当会では、山での作業が終わった後、LINEなどで下山したことを連絡していました。

ただ、作業後に連絡を忘れてしまうこともあります。

連絡がないと、

「まだ山にいるのだろうか」
「もう帰っていて、連絡を忘れただけだろうか」

と、受け取る側には判断がつきません。

心配になっても、確認の連絡をするべきか迷うこともありました。

そこで、連絡が届くのを待つだけではなく、メンバーがお互いの入山・下山状況を自分で確認できる仕組みをつくることにしました。

使い方は、できるだけシンプルに

山に入るときに自分の名前を選び、「入山」を押します。

作業を終えて山から出たら、「下山」を押します。

入山・下山した時刻は自動的に記録され、メンバーの画面にも共有されます。

必要に応じて、現場名などを「現場メモ」に入力することもできます。

現在の主な機能は次のとおりです。

  • 入山・下山時刻の記録
  • メンバーの状況一覧
  • 入山地点のGPS記録
  • 現場メモ
  • 下山予定時刻の設定
  • 入山後の下山予定時刻の延長
  • 下山予定時刻を過ぎた場合の画面上でのアラーム表示
  • 緊急時に使用するSOSボタン
  • 最終更新時刻の表示
  • 圏外時の記録保持と、通信復帰後の自動送信

山では携帯電話の電波が届かない場所もあるため、圏外でも操作できることも重視しました。

一方で、現場で毎日使うものだからこそ、基本の操作はできるだけシンプルに保つことを大切にしています。

入山地点を地図でも確認

入山時には、スマートフォンのGPSを使って入山地点を記録します。

メンバーは地図上でも入山地点を確認できるため、どの付近の山に入っているのかを把握するための手がかりになります。

入山時に取得したGPS位置を地図上に表示する安否確認アプリの画面
運用開始時(V1.0)の入山地点マップ。入山時に取得したGPS位置を地図上に表示します。現在はV1.3まで更新しています。
※公開用に氏名・位置情報を加工しています。

※位置情報(GPS)は、山林の地形や端末の受信状況などにより、数十〜数百メートル程度ずれる場合があります。正確な現在地を示すものではなく、入山地点を確認するための補助情報として使用しています。

AIを使い、現場で必要な仕組みを自分たちでつくる

今回のアプリの作成には、対話型AIサービス「Genspark」を利用しました。

「誰が山に入っているかを一覧で確認したい」

「入山地点を記録したい」

「圏外でも使えるようにしたい」

といった、実際の現場で必要だと感じていたことを整理し、AIとの対話を重ねながら形にしていきました。

最初の要件整理から、実際にスマートフォンで動く初期版までは約3時間。

その後、実際の端末で動作を確認しながら、現場で使いやすい形に調整しました。

専門的なシステムをつくること自体が目的ではありません。

現場で感じた小さな課題に対して、自分たちで使える仕組みをつくり、実際に使いながら改善していくこと。

今回の取り組みも、その一つです。

運用しながら改善を続けています

現在は当会の施業メンバーに利用を限定し、実際の山林現場で運用しています。

この記事に掲載している画面は、運用を始めた当初のV1.0のものです。

実際に使ってみると、「下山する予定の時刻も分かった方がよい」「予定より作業が長引いたときに延長できると便利」「予定時刻を過ぎたことが分かるようにしたい」といった課題も見えてきました。

そこで、運用開始後も少しずつ改良を重ね、現在はV1.3まで更新しています。

V1.3では、主に次の機能を追加しました。

  • 下山予定時刻を30分単位で設定
  • 入山後の下山予定時刻の延長
  • 下山予定時刻を過ぎた場合のアラーム表示
  • 緊急時に使用するSOSボタン

一方で、このアプリは現場で毎日使うものです。

機能を増やすこと自体を目的にせず、「入山・下山をできるだけ簡単に記録できる」という基本の使いやすさを保つことを大切にしています。

今後もしばらく実際の現場で使いながら、必要性が確認できたものから改善していく予定です。

安全管理を補う、一つの道具として

このアプリだけで山仕事の安全を確保できるわけではありません。

入山・下山の確認、安全装備の着用、作業前の危険確認、緊急時の連絡体制など、基本的な安全管理が重要であることに変わりはありません。

このアプリは、そうした日々の安全管理を補い、仲間がお互いの状況を確認しやすくするための道具として使用しています。

山の仕事を少しでも安全に、そして無理なく続けていくために、これからも現場に合った仕組みを考えていきます。


この記事の執筆・監修

久保谷 幸雄|林業家
一般社団法人 安芸太田町自伐型林業を推進する会 監事

広島市出身。2020年から自伐型林業に取り組み、2022年に脱サラして専業の林業家に。広島県安芸太田町を拠点に、森林作業道づくり、間伐、伐倒・造材・搬出、森林資源の活用を実践しています。

自伐型林業歴:6年|森林作業道の作設実績:6,500m超(2026年9月現在)
愛機:STIHL MS 500i/MS 201 C-M

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